めまいの話

めまいというのは、縁の無い人には全く縁の無い病気であるが、繰り返す場合も多く厄介な病気である。突然めまいに襲われた場合、死ぬのでないかと思う人もあるようですが、ほとんどの場合生死とは関係ありません。また、何科の医師に診てもらうのか分からない方も多く、右往左往される方も少なくありません。そこで、今回はめまいについて、述べてみます。

生命の危険があるか

大部分のめまいは、内耳が原因で直接生命には無関係ですが、脳出血や脳梗塞が原因だと一刻を争う治療が必要な場合があります。めまいに関連して意識が無くなったりするのは、危険なサインです。麻痺があったり、頭痛のあったりの場合も、脳に異常が起こっている可能性があります。意識が低下するなら、救急車が必要ですが、そうでない場合も、早急に病院の脳神経外科へ行くことが必要です。緊急MRICTが可能な施設に行く必要があります。嘔吐しているとか、動けないほどひどいとかの「症状の強さ」は、必ずしも、生命の危険度とは、一致しません。

どこの診療科にかかるか、診療所が良いか病院が良いか

 めまいを担当する診療科は、耳鼻咽喉科、脳神経外科、内科と思われますが、神経内科以外の内科医は、めまいに関する詳しい知識を持っていない場合もあるので、耳鼻咽喉科を受診して、耳が原因か脳が原因かを振り分けて貰うのが良いと思われます。
 病院へ行く方が良いか、診療所が良いかは比較的簡単です。めまいがひどく、動けないような場合は病院を、めまいはあるが動けそうなら診療所で良いと思います。その日のうちに帰れず、一泊以上必要な場合は、無床診療所では対応できず、病院へ搬送しなければならず二度手間になるからです。もちろん、有床診療所で入院できるのであれば、診療所でも良いのですが、手術や特殊検査に対してのみの入院できる診療所もありますので、病院の方が間違いないかと思われます。ただ、めまいが医学的に重症か否かは、動けないかどうかとは、直接関係ないので、自己判断は禁物です。めまいで最も基本的な検査は、「眼が回っているか」を見ることです。医学用語では「眼振」と言います。赤外線ビデオカメラのついたゴーグルなどで確認します。

赤外線ゴーグルでの検査

内耳が原因のめまい

 メニエル病、前庭神経炎、良性発作性頭位性眩暈などがあります。何れも回転性のめまいが症状ですが、メニエル病では低音性難聴があることが特徴です。従って、聴力検査が重要です。逆に聴力検査をしないで、過去にメニエル病の診断を受けた場合は、間違いのこともあるので注意が必要です。前庭神経炎は、風邪の後などに発症するめまいで、ウィルスによると考えられています。良性発作性頭位性眩暈は、頭の位置を変えたとき(起きたり、寝たりした時など)に起こるめまいで、内耳の耳石の異常と言われています。耳石というのは、内耳のバランスセンサーの中にある砂のような物です。なでしこジャパンの澤穂希選手が罹患したことでも有名になった病気ですが、薬物療法以外に、運動療法も効果があることが知られていますが、誤った運動療法は、逆効果ですので、専門医に相談の上行う必要があります。